損切りができない心理状態を解明する

損切りを制するものはFXを制する

自分がトレードルールを決めてそれを守るのが大事です。
損切りするのは大切です。
損切りできないと大変なことになります。
書籍やブログなどでよく出てくる言葉です。
以前、あるラジオ番組で「なぜなくならない?薬物依存と向き合う」というテーマで放送がありました。その中で、主治医の先生がある患者の言葉から考えさせられ、患者の治療法を根本から見直すきっかけになったエピソードが紹介されていました。
その内容は、
主治医は、患者に対して、こんこんと薬物の恐ろしさ、薬物を使い続けていけば、体にどんな影響を与えるかを話します。
患者は、しばらく静かに聞いていましたが、主治医のその言葉をさえぎるように、患者が発した言葉は
「先生、薬物を続けるとどうなるかは、先生より自分のほうが良く知っている。どうなるかじゃなく、どうすれば薬物をやめることができるかを教えてほしいんや。」
私も、同じような感じで、よく思いました。
書籍やブログなどで、「損切りすることが大事です。」
「損切りできないと大変なことになります。」と書かれています。
では「なんで損切りできないのか」「どうしたら損切りできるようになるのか」それを教えてほしいと・・・。

結局、この部分をつきつめて考えていかないと、損切りできるようになりません。
損切りできないということは、勝てるようにならないということです。
いろいろ調べてみました。
絶対これだというものかどうかは、人によって違うと思いますから解りませんが、私なりの損切りできるようになる為のアプローチを2つ紹介します。
まず、1つ目は、
損切りできない心理状態を考え、その心理状態ににならないようにする。
「損切りできない」その心理状態を解明する
『死ぬ瞬間』(死ぬ瞬間―死とその過程について)という書籍があります。 
著者のキューブラー=ロスは200人の死にゆく患者との対話の中で、
死を受け入れるまでには5つの段階があることを発見しました。
(ただし、すべての患者が同様の経過をたどるわけではないとしている。)
この5つの段階での心理状態と損切りできない心理状態に共通点があるという話を教えてもらいました。
その内容が、自分の体験した経験がまさしく当てはまっていたので、自分の取っている行動や心理状態は、きっと人間本来、持っているもので当然の反応だと納得しました。
現在自分がどの段階の心理状態であるかを認識できるようになれば、より早く、損切りを克服できるようになるのではと思います。
また、そういった心理状態にならない為にはどうすればいいかを、私なりに考えお話したいと思います。
それにより、あなたが、躊躇なく損切りができるようになるための手助けにきっとなると思っています。

死を受け入れるまでの各段階と損切りするまでの心理状況の共通点

第1段階 「否認」と「孤立」

人は不治の病を知ったとき、患者は大きな衝撃を受け、自分が死ぬということはないはずだと否認する段階。

トレードでは、自分が信じてエントリーした方向、
例えば、「買い」でエントリー、しかし、価格が逆の方向に進んでいくと、「おかしいこのチャート分析から、或いは、テクニカル指標から間違いなく価格は上昇していくはず、下落していくはずがない。」
「経済指標の値が前回より強いのだから、価格は上がっていくはず、下がるはずがない」
というように 目の前に起こっている事実を認めようとしない 。
現実を認めることができない段階で、含み損から現実逃避するために自分の都合の悪い情報を遮断して、必死で自分に都合のよい情報を集めようとする。

第2段階 「怒り」「見当違いに当たり散らす段階」

第一段階の否認を維持することができなくなると、怒り・激情・妬み・憤慨といった感情がそれに取って代わります。
なぜ自分がこんな目に遭うのか、死ななければならないのかという怒り、その感情が抑えきれなくなり、周囲に向け当たり散らす段階に入ります。

トレードでは、買えば下がる、売れば上がるの繰り返しで、思い通りにならなくて、声を荒げたり、人にあたったりと怒りを爆発させた経験があると思います。

第3段階 「取引」

延命への取引。「悪いところはすべて改めるので何とか命だけは助けてほしい」あるいは「もう数ヶ月生かしてくれればどんなことでもする」などと死なずにすむように取引を試みる。神にすがろうとする状態。
トレードでは、「なんとか、今回だけはなんとか、エントリー価格まで戻ってくれ」あるいは、「許容できる範囲の含み損まで戻ってくれ、何でもしますから・・」と 祈ったり、懇願したりします。
「今度から必ず、トレードルール通りにします。
ルールで決めた価格でかならず損切りすることを約束します。
だから、今回だけは、戻ってくれ・・・」
神様との約束を守ったものは一人もいない。
自分の懇願した期日まで、生きられた時にもう願いがかなったから即座に死を受け入れるかというとそうはならない。
著者、とキューブラー・ロスは、幸運にも神様が取り引きに応じてくれる場合があります。

ただ、「神様への取り引き材料」を捧げたにも拘わらず、約束を守った者は一人もいないと言っています。
神様にもう一度取り引きを持ち掛けます。
「その後はどうなってもいいから、どうかこの願いだけは叶えてください。」トレードでも同じです、大きな損失をだして、こんどから絶対ルールを守ろう損切りを決めたルール通りに絶対やろうと自分に約束し、決意しますが、何度も何度も、同じ失敗を繰り返します。
そして、今回だけは・・・・と、また祈ったり、懇願するのを繰り返します。

第4段階 「抑うつ」

取引が無駄と認識し、運命に対し無力さを感じ、失望し、悲しみ,意欲喪失,絶望感,悲壮感,思考制止など,精神的に落ち込みひどい抑うつに襲われなにもできなくなる段階 。
トレードでの状態では、もう価格は戻らない、最悪の状態だが切るしかない。
自分の願いは叶わないと悟り、抑うつの状態に入ると、とてつもない自己嫌悪に襲われます。
なぜ、ここまで含み損が増える前に損切りできなかったのか?
なぜ、ルール通りに損切りしなかったのか、自分があまりにも哀れで無力な感情に支配されてしまいます。

第5段階 「受容」

部分的悲嘆のプロセスと並行し、死を受容する最終段階へ入っていく。
最終的に自分が死に行くことを受け入れるが、同時に一縷の希望も捨てきれない場合もある。
受容段階の後半には、突然すべてを悟った解脱の境地が現れる。
希望ともきっぱりと別れを告げ、安らかに死を受け入れる。

ではこういった状態にならないためにはどうすればいいのか。
死は、人間にとって最大の恐怖であり最も受け入れ難いものです。
まず、死の病の突然の宣告これは、思っても見なかったことが突然起こる、だから、最初は信じられない。
現実から逃避してしまいます。
トレードでは、この「おかしい」、「なぜだ」と思って、現実逃避している間に含み損が拡大していきます。
これを回避するにはどうすればいいか。それは、
『相場では何事も起こり得る』ということを、しっかり、認識しておくということです。
なぜ、経験豊富なトレーダーが、損切りに対して素早い対応ができるかというと、『相場では何事も起こり得る』 ということを、経験から、しっかり認識しているからです。

例えば、10年間、徹底的にトレードを研究したプロトレーダーが書いた書籍には以下のことが書いていました。
マーケットではすべてがグレーの霧のなかにある。
完全に見晴らせることなどない。
グレーの霧の中でトレードすることに慣れなければならない。
白黒はっきりしていることなどどこにもないし、
長くトレードしている私はどれほどあり得ないことでも起こり得ることを知っている。
考えうるすべての出来事には可能性があり、
それはまだ考えてもいない出来事についても言える。
バックミラーを見ながら運転するようなトレードをしていれば間違いなく資金を失う。
トレーダーは常に前を見てトレードし`直前の間違いを気にしてはならない。

「どれほどあり得ないことでも起こり得る」 ということをまず認識することです。
次に、例えば、もし
あなたは「死の病の癌です、あと1カ月の命です」と言われた場合と、
あなたは「死の病の癌です、あと30年の命です」と言われた場合、
当然、あと1カ月の命です。と言われたほうが受け入れがたく精神的にショックが大きいはずです。
つまり、同じ結果、トレードでは、同じ損切りでもその内容によって、耐えがたく受け入れ難いものが大きければ大きいほど、『死ぬ瞬間』のプロセスに陥りやすいということです。
では、どうすればよいのか、
極力、耐えがたく受け入れ難いものを軽減すること です。
それは、取引量です。
質問です。
あなたは、エントリーしてポジションを保有している時に、はらはらドキドキしてませんか?
はらはらドキドキしています。
と答えた方は一度、トレードの取引量を見直したほうがいいです。
はらはらドキドキしない金額というのは、なくなっても落ち込まない金額ということです。
その金額は人それぞれだと思います。
例えば、通常
全財産100万円しかない人は、1万円という金額に対し
「1万円も」という感情になるし、そして、
1億円持っている人は、1万円という金額に対し
「1万円ぐらい」という感情になると思います。

でも、だからと言って
全財産100万円しかない人でも、1万円という金額に対し
「1万円ぐらい」という感情になる人、そして、
1億円持ってても、1万円という金額に対し
「1万円も」という感情になる人。
そういう人がいないかといえば中には、いると思います。
つまり、人によってお金に対する価値観、感情が違うということです。
裁量トレードで勝つためには、
まず1つの取引手法を自分に合うようにカスタマイズする必要があります。
隣に、プロのトレーダーがいて手取り足とり教えてもらえる環境にあれば別ですが、自分用なので自分で考えて決めるしかないです。
まず、トレードの取引量をはらはらドキドキしない金額に落として下さい。
実際にお金が掛かっているので、はらはらドキドキが完全にゼロということにはならないと思いますが、少なくとも失っても「しょうがないか」程度に思える金額にして下さい。
自分の頭の中で考え、想像してみて下さい。
自分はいくらの金額なら1回に失っても気にならないのだろう。
その出た答えの金額でトレードするようにして下さい。
当然、今までトレードしてきた取引量に比べてかなり少なくなると思います。
そして、実際にトレードするとかなりつらいトレードになると思います。
なぜかというと、今まで、負けた分をなんとか取り返そうとトレードするにもかかわらず、勝ってもほとんど資産が増えないからです。
理由は負ければ負けるほど元へ戻すハードルは高くなるからです。
これは、けっこう、かなりつらいことと思います。
でも、やらなければいけないです。
なぜなら、今まで、勝ててないのが、急にコンスタントにトータルで勝てるようになると思いますか?
順番は先に、ある程度勝てる又は、最低でもトントン(負けてない状態)になってから取引量を増やすしかないです。
負け続けているトレーダーさんは、必ずやって下さい。
上記の内容を理解し実践できれば、突発的でもないし許容範囲を超えていないため、第1段階 「否認」を回避 できます。
連敗した時の精神的ダメージを軽減するために。
トレードを続けていると必ず連敗があります。
ここで、なぜ、連勝ではなく連敗のことを書くかといえば、
当たり前の話ですが、連敗のほうが資金面へのダメージと精神面のダメージにもろに影響するからです。
ここでN回連続して負ける確率を考えてみます。
勝率x%の手法がN回連続して負ける確率は以下の様に求めることが出来ます。
N回連続して負ける確率 = ( 1 – 勝率x )^N回
この式を使って、勝率50%のシステムが5回連続して負ける確率を求めてみると、
5連敗する確率 = ( 1 – 50% )^5回 = 3.1%  となります。
では10回連続して負ける確率も求めてみますと
10回連敗する確率 = ( 1 – 50% )^10回 = 0.1%  となります。
つまり、勝率50%の手法においては

100回トレードすれば 3回ぐらいは5連敗するし
1000回トレードすれば 1回は10連敗することがあるよという事です。
「1勝9敗」でも・・・という書籍もありますが、ただ、私の考えですが、連敗がずっと
続いた時に、それでもその手法を信じてやり続けるのはかなりきついと思います。
それはともかく、その手法がどのくらいの勝率かはある程度認識しておくべきです、
自分のトレード手法の勝率は30%だから、負けるのは想定内だしこのぐらい連敗もするよ。だから、きちんとここで損切りしておけば大丈夫、想定内。
このことは、 第2段階 「怒り」を回避 することができます。
なぜなら、現実に起こっていることは想定の範囲内だから、なぜ、私がこんな目にといった、怒りはこみ上げないはずです。
ただ、ここまで思えるのは、自分のトレード手法に自信があり、核心を持っている人。
手法の検証をしっかりやって、かつ、その手法での成功体験ができている人と思います。つまり、上級者クラスの勝ち組、何らかの方法で損切りがすでにできるようになった人と思います。
 でも、核心まではいかなくても、デモ口座や検証ツール、過去のチャートを印刷したりして徹底的に使う手法を検証することは、自信をつける為には非常に有効だと思います。トレード検証はメンタル面でも技術面でも有効な手段です。
今、起こっていることが受け入られない現実ではなく、全て想定の範囲内ならば、第3段階 「取引」での「神様に祈る」ことも必要なくなります。
こういったことを、一つ一つ考えていくことによって損切りに対する意識が高まり、スムーズに損切りを実行する ことができるようになります。
手法を駆使して損切りの苦痛を回避する。


手法を使ったアプローチ
こんどは、手法をつかっての損切りできる方法を2つ紹介します。
これらの手法は、負けること自体が嫌で嫌でしょうがない人には良い手法かもしれません。
1つ目は、
ある程度、利が乗ってから損切りポイントをエントリーポイントまでずらす。
エントリー後、例えば利食い目標の半分まで利が乗った時点で、エントリーポイントにストップを移動します。こうすることにより、うまくいけば利食いですし、最悪でもプラスマイナスゼロでトレードを終わらせることができます。一度含み益が発生してから損切りにヒットするストレスがかなり減ります。
ただ、エントリーポイントで損切りにヒットした後、思惑の方向に動くケースもあるので少し残念な気持ちになります。

二つ目は、
ある程度利が乗ったら半分を利食い、ストップを損益分岐点まで引き上げる。
例えば10万通貨でエントリーし、利食い目標が10pips、損切りも10pipsだとします。
エントリー後、5pips利が乗ったら半分の5万通貨を利食います。
そして、ストップを損切り分岐点、つまり当初の10pipsからエントリーポイントの5pips下まで引き上げます。
こうすることにより、仮にエントリーポイントからさらに逆行されても、利食いした分を担保にすることにより、若干の耐え幅ができます。
そこで耐えて、再度思惑の方向に動けば利食い、仮に逆行されてストップにヒットしたとしても、プラマイゼロです。
 ただ、利食い目標地点の手前で玉を半分決済するので、最初に設定した利確の利益より
利益が少なくなります。
例えば、ドル円で1pip 1銭(0.01円)とすれば
最初に設定した利確の利益は1万円(10万通貨で10pips)ですがこの方法を使
うと、
2500円(5万通貨で5pips) + 5000円(5万通貨で10pips) 
= 7500円の利益
です。

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